ニチアサの特撮作品「仮面ライダーゼロワン」が、2020年8月30日を以て最終回を迎えました。

令和仮面ライダー第1作として多くの人達に注目されたこの作品。

ストーリーをテレビやTwitterで追っていった率直な感想を言わせてもらうと、途半端だなぁ…」という感じでした。

なぜそう思ったのか。いくつかのポイントに分けて簡単に話していきます。

1.ストーリー展開
腹筋崩壊太郎や暗殺ちゃんといった濃いキャラで流れを掴むことに成功した第1章「滅亡迅雷.net編」。
迅を破壊して滅を捕縛した後、滅亡迅雷.netの背後にいるアーク、そのアークを作ったZAIA社長(当時)の天津をどうするのか、いかにして人間とヒューマギア(AI)が笑い合える世界を作り上げていくのかワクワクしていました。

しかし、その後の展開がグダグダ…。
10週にも渡る虚無を見せつけられた第2章「ZAIA編」。
登場人物達による天津フルボッコで第2章とは逆の意味でつまらない第3章「飛電製作所編」。

誰も湖に沈むアークを破壊することなく放置した結果、最終章「アーク編」で仮面ライダーとして復活するのはどうなんだ…。
第2章、第3章いらないじゃんと。

最後まで滅亡迅雷.netを敵対勢力としたほうが、人間とAIが共存するにはどうしたらいいかについて描きやすかったのではないかと思います…。

実際は滅亡迅雷.netや天津は法的に罰せられることなく許された状態で終わっており、微妙な感じになりましたけどね…。
滅亡迅雷.netの4人を破壊しないで終わったのはよかったとは思いますが。

2.登場人物
登場人物達の描写についても疑問符が残ります。

主人公の或人はヒューマギアを無条件で信じ、夢を語るキャラであることを過剰なまでに描写しているため、不破さんら人間キャラとの信頼関係が十分に構築されているとはいえません…。
成長要素も、ある程度不破さんに持っていかれてしまっている感が否めません。
クライマックスでは周りに散々迷惑をかけたのだから、短い時間でもいいから謝罪の描写が欲しかったところ。

物語初期から存在する初の女性ライダーとして注目を集めていた唯阿さんについても、仮面ライダーとしての活躍機会や強化フォームがなく、最終形態はファイティングジャッカルレイダーという怪人枠。
第2章、第3章で天津に道具扱いされる様は正直見ていられませんでした。
余りにも可哀想…。

悪意のAIであるアークを作った天津に至っては、全ての元凶というキャラなのに非常に中途半端。
不正をやってまで飛電インテリジェンスを買収しようという明確な悪役描写があるにも関わらず、1000%という口癖や自称・永遠の24歳というギャグ描写があります。
悪役としては小物臭く、ギャグキャラとしてもしらけてる。
どちらにも突き抜けきれてないなと感じました。
同じ社長キャラで全ての元凶という共通点がある仮面ライダーエグゼイドの檀黎斗(神)というキャラがいます。
彼のほうがキャラとして遥かに突き抜けており、反省する気も全くないので非常に面白かったです…。

3.お仕事5番勝負
現在においてもTwitter上では否定的な意見が多い第2章の「お仕事5番勝負」。

制作側としては、大森Pがやりたかったお仕事紹介と、人間とAIの向き合い方についての描写が同時に出来るので理にかなったアイデアではあったと思います。

しかし視聴者が見たのは、サウザー無双、不正行為を行う天津に振り回される或人、MCチェケラ等フラストレーションがたまる展開。
10話にも渡る勝負の結果、案の定敗北し、飛電インテリジェンスが買収されるという結末。
挙句の果てには、無能さが滲み出る或人ではなく、一人滅亡迅雷.netの動きを追わなければならなくなった不破さんのほうが主人公扱いされる始末…。

制作側が伝えたかったメッセージより展開の粗さが視聴者に伝わってしまった…。
これでは大半の人達からつまらないという意見が出ても仕方ないですね。
自分もつまらないと思います。

最近では刃唯阿役の井桁弘恵さんから、役回りがガラッと変わったことで自身の存在意義について悩んでいたことが明らかになりました。


役者からもいろいろ言われるって…。

4.最終章(アーク編)での急展開
クライマックス直前で新型コロナウイルスの流行による緊急事態宣言が発令。
撮影もストップし、5週にも渡る総集編を挟むことに…。

スケジュールに余裕がなくなった結果、描写が飛び飛びの駆け足展開になりました…。

ストーリーについても、当初考えていたものから大幅に変更したのでしょう。
以下の点からも、そのことをひしひしと感じます。
・アイちゃん投入による不破さん、唯阿さんの心の蟠りの解消
・さうざー投入による天津の心の蟠りの解消
・イズ退場による或人の闇落ち
・最終回直前でのオルトロスバルカン、滅アークスコーピオンの登場

登場人物達が協力しやすくなるようにアイちゃんやさうざーといった便利キャラを投入するのは、正直どうかと思いました。
それをやるくらいなら、お仕事5番勝負を3番勝負までにして、登場人物の心理描写を丁寧に描いていったほうがよかったと今でも思います…。

とはいえ、駆け足展開になったことでこれまでのグダグダさが影を潜め、面白くなったのは皮肉というかなんというか…。

5.真の結末は劇場版で!
最終回の最後で伊藤英明氏が演じるエス(仮面ライダーエデン)という新キャラが出てきました。
12月18日に公開が決まった劇場版に出てくる敵ライダーのようです。


これにより、「仮面ライダーゼロワン」の真の結末は劇場版で描かれることが確定となりました。
個人的にこの商法はあまり好きではありませんが、今回は事情が事情だけに仕方ないですね…。


以上、「仮面ライダーゼロワン」について中途半端なポイントをいくつか述べてきましたが、アクションやその演出が素晴らしかったのも事実。
最終回におけるアークワン・ゼロワン(縄田さん)と滅アークスコーピオン(高岩さん)の戦闘は本当に痺れました。(特にゼロワンのライダーキックを受ける滅アークスコーピオンの描写!)
これで一号ライダーの引継ぎが正式に完了したんだなと思うと胸が熱くなります。

中途半端な点が多かった作品ではありましたが、新型コロナウイルスの影響が収まらない中でストーリーを無事に完結させてくれたのはよかったです。

制作に携わった全て関係者の皆様、1年間ありがとうございました!

次週からはファンタジー要素を前面に押し出した「仮面ライダーセイバー」が始まります。
メインライターが平成仮面ライダーの中でも特に不評な「仮面ライダーゴースト」を手掛けた福田卓郎氏ということで不安に思う人達が多いですが、前評判を覆すものを作ってくれることを期待しています!



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